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ふるさと納税に対する東京都の見解

「ふるさと納税」は、個人が、ふるさとやお世話になった地方自治体を応援する仕組みとして、平成20年度に創設されました。

地方自治体に寄附をした場合、寄附額のうち2千円を超える額について、一定の上限まで、所得税と住民税から控除される制度となっています。

しかし、「ふるさと納税」には様々な問題があることから、東京都は、「ふるさと納税」に参加しておらず、国へ制度の見直しを求めています。

 

 

東京都における「ふるさと納税」による減収額

都民の方が、他の自治体に「ふるさと納税」を行った場合、東京都に納付され、行政サービスの財源となるはずの都民税(住民税)が減少することになります。

東京都における「ふるさと納税」による都民税(住民税)の減収額は年々増加しており、令和4年度の減収額は571億円にのぼります(平成21年度からの累計2,341億円)。

ふるさと納税による減収イメージ図

※ 令和3年度以前は総務省「ふるさと納税(寄附)に係る寄附金税額控除の適用状況について」より

※ 令和4年度は総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」より

(注)個人の「都民税」と「区市町村民税」はあわせて区市町村が課税徴収を行っています。

令和4年度の571億円イメージ図

 

 

 

ふるさと納税には、次のような問題点があります。
返礼品競争により、ふるさとを応援するという寄附本来の趣旨が損なわれています。

「ふるさと納税」は、地域の活性化に資する面もある一方で、より多くの寄附金を集めるために返礼品競争が続いています。こうした状況は、ふるさとや応援したい自治体に、寄附を通じて貢献するという「ふるさと納税」の趣旨からは大きくかけ離れています。

 

地方税の原則からみて、望ましくありません。

住民税は、地方自治体が行政サービスを提供するために必要な経費を賄うものであり、その地域の住民が負担し合うものです(受益と負担の関係)。

「ふるさと納税」は、自らが居住する地方自治体の行政サービスに使われるべき住民税の減収につながります。受益と負担という地方税の原則に照らしても適当ではありません。

 

図 居住自治体の減収イメージ
居住自治体の減収イメージ図

 

高所得者ほど事実上の節税対策として活用でき、公平性の観点から問題があります。

「ふるさと納税」による控除額は所得に応じて上限が高くなる仕組みとなっており、自己負担額2,000円で高所得者ほど多くの返礼品を受け取れることになるため、公平性の観点から問題があります。

 

表 収入金額ごとの事実上の節税額
表:収入金額ごとの事実上の節税額
注 ふるさと納税をした方が①家族構成「夫婦+子2人(大学生と高校生)」かつ②給与収入のみの場合の金額(総務省資料より)

 

「ワンストップ特例」は、国の減収分が地方へ転嫁されています。

平成27年度に創設された「ワンストップ特例」は、確定申告せずに「ふるさと納税」の寄附金控除が受けられる制度です。

しかし、「ワンストップ特例」を利用した場合は、本来、国税である所得税の減収となるべき額が、地域の住民サービスに使われるべき住民税の減収となってしまいます。

 

こうしたことから、都は、「ふるさと納税」について、寄附本来の趣旨等を踏まえた見直しを行うよう国に求めています。

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